オーバーホールとは
Ver2メカボックス
 
 
●なんですか?

機械で作った物には製品誤差が生じます、何月何日に出荷したアレにはアソコがナニにスレスレだったりガバガバだったとかいわゆる「ハズレ」です。当然偶然の産物としてすべてバッチリいい具合の「アタリ」も存在しますが、確率的にそれは稀です。そのハズレ部分を微調整で吸収してすべて「アタリ」相当にしてしまおうというコンセプトです。

シム調整
:上の3つのギア(歯車)にはそれぞれシム(ラジコン用シム0.1 0.2 ,0.3(mm)、純正シム0.15 ,0.3 ,0.5(mm)を使用します)と呼ばれる隙間埋めの極薄ワッシャーが規定量組み込まれています。ところがこの規定量というのが癌で、製品誤差が生じている場合はギアに不要な遊びが生じ、動力の伝達率が低下、伝達しきれなかったエネルギーはギアノイズや、ギア同士の接触による過剰な摩擦抵抗が発生し、パワーやサイクルに悪影響を及ぼします。ロスは当然成仏を求めてどこかへ発散しに行く訳ですから、ギアそのものが磨り減ったり、軸受けが減ったり、メカボックスに負担がかかったりします。このシムの枚数を3つのギアの軸受けで計6箇所に試行錯誤しながら増やしたり減らしたりしながら、100%ジャストミートに近づける作業をシム調整といいます。よくヘリカルギア(歯が斜めってるギア)だと静かになると言いますが、ヘリカルギアはギア間の接地面積を増やし力の伝達率を向上させる効果がある反面、ヘリカルギア特有の摩擦抵抗によりシムや軸受けが磨耗します。セミオート専用のスナイパーカスタムやハイパワーカスタムには向いています。しかし通常1Jカスタムの範囲ではノーマルギアで当たりを出す方向がベストと考えます。

スプリング交換
:電動ガンの初速の殆どはスプリングで決まります。ノーマルのスプリングから多少強いスプリングに交換し、1Jギリギリの初速を求めます。但し1Jスプリングを入れたら必ず1Jになる訳ではありません。ピストンの前進後退速度と給排気効率も初速に影響を及ぼします。

ピストン加工
:ノーマルのピストンは樹脂製ですが、1Jの範囲ならカスタムパーツを使う必要は無く、このノーマルピストンが重量や耐久性や軟性において何気にベストチョイスだったりします。ピストンのラックギア部分を少し削るだけでこの部分のセッティングは完了です。

ピストンヘッド交換とシリンダーヘッド加工
:ピストンの給排気効率をアップさせる為にシステマの穴空きピストンヘッドに交換します。穴が空いてるから排気効率が下がるんじゃないの?という話ですが答えはNO!問題なしです。図を見ていただくとその構造が理解できるかと思います。同時にシリンダーヘッドのゴムを衝撃吸収材ソルボセインに交換し、消音化と耐衝撃性を向上させます。


排気される時 :ピストンヘッドに穴が空いていますが、パッキンがピストンに密着するので気密は取れています、穴のある無しは関係ありません。


吸気される時:パッキンがピストンヘッド側に移動します。ノーマルの場合だと吸気効率が低下しますが、この穴の部分から吸気されるのでピストンの後退速度が速くなり効率がアップします。


チャンバーまわり調整:給弾不良やホップの不具合はマガジンかここです。問題のある銃はこの部分を見直し、必要ならば部品交換を行います。

慣らし運転 :車やバイクの慣らし運転同様に、ギアのすり合わせをスムーズにするには低出力の慣らし運転が効果的です。メカボックスをギアのみの状態にして一旦閉じ、モーターを組み付けて4.8V程度のバッテリーで回してみます。ある程度回したら今度はプラスとマイナスを入れ替えて逆回転、再び分解、グリスアップ、慣らし運転、分解、グリスアップ、この作業を繰り返すうちに徐々にギアノイズが低下し、いわゆる「あたり」が出てきます。ギアにおおよそあたりが出るとスプリング等のパーツを組み込んでメカボックスを完成させ、メカボックスのみの状態で動作チェックを行います。

● 全体的な組み付けバランス取り:これらの加工を施したメカボックスが読み通り正常に動作する為にはやはり全体的にキッチリフレームに収まる必要があります。ズレや歪みを修正、補強し理想の組み付け状態にします。

試射〜完成:試射をしてみて全体の動作と精度をチェックします。ここまで来ればほぼ問題は解消されている筈なのですが、一つだけ重要なチェック項目があります。初速チェックです。1Jスプリングを入れたのに1Jに遠く及ばないパワーしか出ない場合はシリンダーの気密に問題があります。経験上上記作業をキッチリ行えば1Jスプリングを入れた銃は1J、もしくはそれ以上のパワーを発揮します。ある程度の試射を行いスプリングのテンションに’慣らし’を入れ、安定したところで弾速計で初速チェックを行い、問題が無ければ完成となります。